王位継承戦では「チーム戦」がしたい,根拠はヒソカ対クロロ【ハンターハンター】

中々連載が再開されない「HUNTER × HUNTER 」.春先に再開されるかと期待したがそんなことは無かった.きっと構想を練るのに時間がかかっているのだろう.きっとそうだ.
今回は絶賛連載中(?)の「王位継承戦編」を通して冨樫義弘は何がしたいのかを考えてみる.見てて退屈という意見も多いこの章.しかし,序盤で導入されたヒソカvsクロロ戦と,この章のテーマの関係を考察してみると中々面白い.

本記事は考察記事である.少々長めになるので暇な人だけ目を通していただきたい.

 

展開の特徴から見る「継承戦編」のテーマ

・他の能力者をサポートする能力の登場

・勢力が乱立

・徒党を組んで戦う登場人物多数

登場人物の所属や新しく登場した念能力の新要素などに着目すると,王位継承戦では大体このような特徴がみられる.これらの要素を総合的に考えるとこの章で冨樫義弘がやりたい展開がおおよそ分かってくる.

ズバリ,能力者同士のチーム戦である.

少し脱線,「ハンターハンター」という漫画の大前提

いきなり「冨樫のやりたいことがどーのこーの」言ってしまったが,今一度ハンターハンターという漫画の立ち位置から整理したい.

他の漫画でもそうであるように,ハンターハンターもいくつかの大長編から物語が構成されている.

・ハンター試験編 ・ゾルディック編 ・天空闘技場編

・ヨークシン編 ・G.I編 ・キメラアント編 ・会長選挙編

・王位継承戦編(暗黒大陸編とも)

読んでいれば分かることだが,各長編ごとに物語の作風がまるで違うことがこの漫画の大きな特徴である.

・ハンターハンター = 冨樫版ジョジョ(分かってる人は飛ばして)

各長編ごとに作風が違う,これどっかで見たなとは思っていた.そう「ジョジョの奇妙な冒険」である.というより恥ずかしながら最近アニメで放送されるまで見たことなかった筆者が,ジョジョを観て気付いたことである.

スタンド能力,死んで初めて発動する能力,無意識の能力制限

「なるほど,HxHってのは冨樫にとっての『僕が考えた最強のジョジョ』だったんだなぁ」と改めて思った.漫画に出てくる要素的にもそうだが,各章ごとにオムニバスになっている点も恐らくジョジョから影響を受けている.厳密にはHxHの場合,世代交代まではしないものの,各章ごとに主人公と呼べる立ち位置の登場人物が一定せず,実質的なオムニバスとして描かれるのが特徴である.

そしてオムニバスという方式がどう都合がいいかというと,その時々で漫画家がやりたい展開,描きたい物語を描けるという点において都合がいいのだ.先ほども述べた通り,このHxHは長編ごとに作風がかなり違う,そして主人公も長編ごとにとっかえひっかえされる.それは全てオムニバスとしてこの漫画を進めていくために冨樫がジョジョから盗んだシステムなのである.

つまりHxHとは,
冨樫のあーいう話が描きたい,こーいう話が描きたいというビジョンを叶えるために作られたジョジョ風オムニバス漫画なのである.

「そんなの他の漫画でも一緒でしょ,みんな描きたいもの書いてるに決まってんじゃん」


と反論したくなる気持ちも分かるが僕が言いたいのはそんなことじゃない.HxHでは,各長編ごとに明確なテーマが描かれ,それが一本の独立した作品として完結しているということである.

例えばグリードアイランド編は,「戦いとは駆け引きである」ということがテーマの短編作品として見ても完成しているのだ.
HxHの割に王道といわれるこの長編だが,少年漫画に特有の単純なドンパチは描かれず,戦う相手との相性や場所,適材適所なオーラの使い方など「駆け引き」が重要な展開が描かれた.特にビスケという登場人物が説く駆け引きに重要な「考える瞬発力」「下準備の重要性」などはこの章を象徴する考えであるとともに,社会に出た私たちに痛いほどに響く論理なので一読の価値がある.

なぜ「継承戦」のテーマが「チーム戦」といえるのか

話を戻す.と言ってもこれに関しては最初に述べた通りだ.王子直属の衛兵,派遣された雇われハンター,ヤクザ,旅団内の派閥,もう徒党言って良いほどに登場人物同士がチームを組んでいる.

またその展開を最大限に面白くするために設定されたであろう「ジョイント型」などの他の能力者と協力することで真価を発揮する能力者の登場.

もうこの章では冨樫がチーム戦を描きたいことは確実である.

だがこんなことは最近の展開を読んでれば分かることである.本記事ではそんなことはどーでもいい.本題は継承戦で描かれるこのチーム戦というテーマを端的に表す展開を直前に挿入していたことである.

そう,ヒソカvsクロロ戦である

ヒソカvsクロロ戦といえばHxHファンであれば長年待ち望んでいたであろう世紀の対決である. だが「暗黒大陸に行きましょう」とか言ってる最中に唐突に差し込まれたなぁと感じている人も多いのではないだろうか.実はこのタイミングで差し込まれることには重要な意味がある.

この対決そのものが,後に出てくるチーム戦の重要性を説いているからである.

戦いそのものが伏線だったヒソカvsクロロ戦

「能力にはそれぞれ一長一短がある」
「能力者はそれを工夫で補う」
「戦う相手や場所を選んだりチームで戦うことが凡例だ」

(34巻・p27,28)
-クロロ・ルシルフル

つまり「チームで戦うこと,能力の弱点を他の能力で補うことが戦いにおいては合理的だ」ということである. クロロはこの発言の後,言葉の通り旅団員の様々な能力を組み合わせ,ヒソカをボコボコにして見せた. もう気付いていると思うがクロロのこの発言がこの章のテーマそのものなのである.

そしてこの一連の展開が本編である継承戦の前に差し込まれる意味.それはヒソカvsクロロ戦が本編のテーマの要約であることに他ならないのだ

・ヒソカvsクロロ戦に見る,映画的な倒置構造

話の本編に入る前に,その物語の主張や主題を象徴する展開をアバンに挿入するという手法は映画作品などでよく見られる.

制作側の意図が視聴者に暗示されるとともに,見返した時にアバンの展開そのものが伏線として機能し作劇場の美しさにもつながるという代物である.

つまり,「今からこういうテーマの話やるよ~」と最初に言っておき,

話が終わった後から見返すと,「なるほど確かにその通り」だったという倒置法のような話運びなのだ.

尺が短く,出来るだけセリフなどで作品のテーマを表現することを避ける映画では,テーマとなる展開を最初に持ってくるという手法がとても効果的である.

冨樫は要するにこれを漫画でやりたかったのだ.そしてこれをやっていい大義名分が冨樫にはあった.ヒソカvsクロロ戦という皆が見たいカードをここまで温存していたからである.「ヒソカvsクロロ戦,どうせ皆見たいだろうし,この機会に使わせてもらおう」と切り札を切ったのだ.

つまり,
・作品テーマ(チームの合理性)の主張
・映画的構造の展開
・ファンサービス


これら全部をヒソカvsクロロ戦を通して冨樫はやってのけたのだ.


もうなんていうか,相変わらずやりたいことをやりたいようにやってんだなぁって感じだ.

・クラピカとの対比構造

そして面白いのが,二人の戦闘が終わった後に差し込まれるクラピカの展開である.

人差し指のイルカを初めて使うとき,師匠イズナビとの修業時代の回想が入る.「重要なことなので2回言う」といわんばかりにクロロに続いて師匠もチーム戦の重要性を説き始める.大注目なのはこの後のシーンだ.

「それでも....だからこそ一人で戦い抜く力が欲しい!!」

クロロの合理主義に対し,

結局ヨークシンでの戦いの後も仲間を失いたくない気持ちがぬぐえず,「一人で戦いたい」と理想主義を貫くクラピカの対比が描かれる.


チームの合理性が説かれた後に,仲間の為に一人で戦うことを望むクラピカの悲痛な思い.王位継承戦編・序章はここまでがワンセンテンスなのだ.

・昔流行った「共闘説」

二人の戦いが連載してた頃,「共闘説」というものが流行った.

「クロロは旅団の仲間に協力させて,ヒソカをリンチしていたのではないか」という説である.

正直これが本当だろうが憶測だろうがどうでもいい.

どちらに転ぼうがクロロが仲間の力を組み合わせ旅団というチームとしてヒソカを迎え撃ったことに変わりはない.


だが面白いなぁとは思った.テーマであるチーム戦ともリンクするなぁとも思うし,「いやそのリンチを一人で出来るってのがクロロの念能力を強みでしょ」ってのを忘れてこの説を猛進している人はセンスが無いなぁとも思ったし.

まとめ

ということでヒソカvsクロロ戦から,冨樫が映画的な倒置構造を用いて「チーム戦の合理性」というテーマを描いているのでは?について考察してみた.映画かぶれの僕の憶測でしかないので分かんないけど,継承戦は話が進むにつれてどんどんチーム戦が攻略のカギになるのではないかと考えている.

さらっと今後の予想を述べてみると,現時点でチームを組まずワンマンプレイしてる奴はヒソカと同じ結末をたどると思う.僕の考えではヒソカvsクロロ戦は今後の展開の暗示だ.細かいキャラの動向は覚えてないけどマチ,フランクリンあたりはヤバイかも.

あとノブナガの能力は確実に人と組むことにで真価を発揮する能力になります.てか昔からそんなようなこと言ってたか.ではまたの機会に.

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