画よりも「熱」を再現しろ,ワンパンマン2期が酷いワケを考えた【演出編】

誰に聞いても明らかに評判の良かったアニメ「ワンパンマン」1期.それに対してネットのあちこちで「クオリティが下がった」と話題の2期.
いったい何がネット民にそう言わしめるのかを個人的に考えてみた.
(ちなみに著者も2期はそんなに好きじゃない)

まあ結論から言ってしまうと1期の良かった部分がことごとくオミットされててしまっているからだと思う.本記事では主に演出面について語る.

作画,演出が「普通」になった

テレビアニメの作画としては限界突破レベルの描写が魅力だったワンパンマン1期.多少の造形の崩れなんて気にしないといわんばかりのアグレッシブな演出,書き手の魂の叫びが伝わってくるような情熱的なアクション描写の線.もう毎週毎週すごく楽しみだった.

では2期の作画はどうだろうか.結論から言って普通だ.日本で今やってるアニメの標準的なレベルだと思うし,力の入っているシーン何かは凄く頑張ってんなぁと思う.

だけど悪く言えばそれだけだ標準的なレベル,頑張ってるとこは頑張ってる,つまり裏を返せば手抜いたなって部分はもろバレだったりするってことだ.

特にアクションシーンで止め画を多用するのは本当にやめた方がいい.ジェノスvsソニックなんかは流石に見ていられなかった.

だけど作画で手を抜いても,動画ソフトのエフェクトとかで簡単に騙せちゃうこのデジタルアニメ時代のスタンダードだと思わなくもない.良くも悪くも今風な造りのアニメだと思う.

 

1期はまさに「創作」,原作の「熱量」を再現

1期に関しては作り手の表現者としての実力が凄まじかった.まず,破壊のカタルシスをしっかりと理解した人間が作っていること明らかだ.1話からそうだった.ビル破壊,爆発,土煙,「殴られた怪人の体表の波打ち」など,怪人の脅威やサイタマのパンチの威力などを演出する上で重要な破壊,ダメージエフェクトが丁寧に描写されるとともに,それをいかんなく活かすための特撮的カメラワークなども披露され制作サイドの拘りが見て取れる.これらが1期の魅力の半分を占めているといっても過言ではない.

さらに演出面では,キャラクターが常に「演技」をしているのが本当にすごい.「声優の演技が~」みたいな話ではない.

例えば,進化の家に乗り込む件で,阿修羅カブトとジェノスが戦う展開において.防戦一方のジェノスがサイタマの基にぶっ飛ばされるシーンに注目してほしい.満身創痍のジェノスに対してサイタマが常に「そんなに強いか?」といった表情でリアクションを取っているのである.これこそ普通は止め画でもいいはずなのにだ.

他に例を挙げれば,桃源団を前に立ち向かう無免ライダーのシーン.参上の口上を吐く前にトレースしたかのような滑らかな動きで自転車を止める描写が差し込まれる.彼の几帳面な人となりが伝わるとともに,ワンパンマンのシュールギャグ漫画としての側面が表現される巧い演出だ.

とにかくアクション作画が凄いだけでなく,作画によって紡がれる細かい演出が「ワンパンマン」という漫画を,そして登場キャラクターそのもののアイデンティティを引き出しているのである.

 

2期は「作業」,何も伝わってこない

対して2期はこういうところを凄く作業的にやっている印象が強い

アクション,会話などシーンに関わらず基本止め画が多様され,人物の人となりが細かく描写されている部分はあまり見受けられない.もちろんキングの顔面蒼白などは描かれるが,それはアニメーションとしての表現ではなく,原作である村田版から来ている要素だ.

個人的に2期になってから登場人物がみんな魂の無い人形のように見えるのはそういった細かい表現が足りていないからだと思うし,作り手がキャラクターや漫画の特性をしっかり理解せずに作っているからだと思う.

 

制作サイドの言い分

Yahoo!ニュースの「アニメ質問状」という記事で,2期のチーフプロデューサーなる人が,「細部まで原作に忠実な演出、絵作りにこだわって」みたいなことを言ってたけど,

こんなこと言う時点で1期スタッフが何にこだわって制作していたかを理解していない.
1期が再現していたのは原作の絵柄なんかじゃない,「熱量」だ

もしかしたら2期スタッフは
原作に忠実 = アニメーション表現の怠慢,と勘違いしているのかもしれない

 

もっと単純な話,1期が凄すぎた.

2期の作画や演出のネガティブチェックをしててもキリがないので,もっと一般的な話をしよう.
1期が凄すぎたせいでアニメ「ワンパンマン」への期待値が上がり過ぎたのだ.

間違いなく,1期を堪能した人達にとってワンパンマンとは「神作画コミコミのコンテンツ」だ.そしてそれは1期のタッチ,つまり前制作会社の色で作られたワンパンマンのことを指している.別の制作会社が作ったあんまり動かないアニメーションで描かれるワンパンマンが見たいわけではないのだ.そもそも論として需要と供給が合っていないのである.

まとめ

ということでワンパンマン2期が詰まらない理由について,作画,演出面について着目して語ってみた.今後「テンポ,話運びが悪い」「ガロウ編がそもそもアニメに向いてない」とかについても記事を出していきたいと思うのでよかったら見てほしい.

One Reply to “画よりも「熱」を再現しろ,ワンパンマン2期が酷いワケを考えた【演出編】”

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