【ネタバレ】不二子の「母性」と男たち,LUPIN THE Ⅲ 峰不二子の嘘 感想レビュー

ハードボイルドなルパンと一味の活躍を描く「LUPIN THE ⅢRD」今回はその最新作「峰不二子の嘘」を鑑賞してきたのでレビューする.

本記事ではこのシリーズのテーマ,「男とは何か」についてのみフィーチャーしたい.
その他の部分はまぁいつも通り最高のクオリティだったので敢えてスルーする.

 

 「LUPIN the ⅢRD」が 目指す切り口

全2作では次元,五ェ門にフィーチャーした本シリーズ.今作ではファン待望,時には味方,時には悪女の峰不二子がメインキャラとして物語が描かれる.

それと同時に二人のゲストキャラと不二子の関係を通して,シリーズ共通のテーマ「男とは何か」を全2作とはまた違う切り口で表現している.

ズバリ,母性と男

この二つの関係を通して,「男とは何か」が描かれる.

・ざっくりストーリー紹介

とある企業から5億ドルを横領した男の基で,秘書として働いていた不二子.だが企業が雇った殺し屋ビンカムによって,男は殺害され,5億ドルのありかを知る息子ジーンと共にが企業から狙われることに.今までとは違う「子供」という難敵を前に奔走する,不二子とルパン一味の活躍が描かれる.

不二子の「母性」と男たち

ルパン一味の面々を順番にフィーチャーしていく,本シリーズ.前述の通り,このシリーズの裏のテーマは「男とは何か」を描くことである.でも今回の主人公は題名の通り峰不二子.

じゃあ今作ではどうやって男の本質を描き出したか.

この記事では不二子と二人のキーパーソンの関係によって描かれた「男の子」として男性像について考えてみたいと思う.

・不二子に「母」を求めるジーン

物語のカギを握る登場人物ジーン,まだ子供でありながら父が残した大金を使って,親の仇であるビンカムを討つようルパンたちに依頼する.

不二子に関わる男性としていつもと違うのは,まだ色仕掛けの意味も分からない子供であるという点である.天涯孤独となったジーンに対して「母親になってあげる」と彼に近づき大金のありかを聞き出そうとする不二子.だがビンカムに対する復讐心は硬く不二子にも心を開かない.

僕だったらこんな大人のお姉さんに言い寄られたら,一瞬でゲロッってしまうだろう.
普通はそうだ.きっと

・不二子に初恋する敵,ビンカム

不二子編ということもあり,敵でさえ彼女の魅力に取りつかれてしまう.

前2作の敵キャラ同様,「組織」によって作られ,生まれたときから奴隷のような扱いを受けてきたビンカム.

しつけ役のような女性にムチと木の実で餌付けされ,さながらサーカスの猛獣ようである.おそらく女性との触れ合いは生まれてこの方しつけ役の女のみであり,「母」と呼べるものを知らずに育ってきたことは想像に難くない.

そしてこのビンカムの不二子に対する心境の変化こそがこの物語のカギなのである.

・ジーンとビンカムの共通点

この二人のキャラ.全く違うもののように見えて実はすごく似ている.

二人とも母を知らず,女を知らないのである.

不二子と関わることで彼女に「母」と「女」を求めるようになるのである.女性にとってはあまり理解できないかもしれないが,これはまさに男の子の特徴だ.

色仕掛けが通用せず,頑なに復讐を誓っていたジーンは次第に不二子に母親を重ね,女性としても意識し始める(金庫の番号を記していた時).

ビンカムも序盤のカーチェイスや不二子によるスキンシップの影響で徐々に女性として彼女を意識していき,ある発言から母としても彼女を求めていたことが分かる.

母親=初恋

・ビンカムの初恋,そして母への思い

結論から言うと男の子にとって
母親=初恋なのである.

生まれて初めて触れ合う女のカタチ.母の影をいくつになっても忘れることのできない生き物,それが男だ.

劇中でビンカムとジーンが求めたものは,母親という形を取った初恋に他ならない.

今作で重要なのは,「理想の女性像=母親」という男の不偏性を通して,このシリーズのテーマ「男とは何か」を描いていることなのである.

あれだけ荒々しく不二子を「女」として求めたビンカムが,しつけ役の女を「お前はもういらない」と絞め殺す描写には,「初恋の相手」として,そして「母親」として相応しくないという無意識に彼が感じた二つの愛の共通項が表れている.

・男は「母親」を忘れられない

母性的に描かれる不二子の描写は,男が忘れることのできない母親像を彷彿とさせる.

よく「息子は母親に似た人を連れてくる」なんて話を聞くが,それは事実としてあり得ることであるし,初めて感じた異性との触れ合いを男が忘れられないことの表れである.

今回出てきた二人の男性キャラが不二子に求めたものはそんな男が女に求めるもの,すなわち「母親のごとき優しさと包容力を兼ね備えた人」であり,それを理解し,利用する「峰不二子の嘘」が彼らの初恋に終わりを告げる

初恋とは往々にして叶わないものである.この映画を見てどこか切ない気持ちにさせられる所以は,僕たちが少年時代に見た初恋の儚さとリンクを感じ取るからだろう.

まとめ

ということでLUPIN THE Ⅲ 峰不二子の嘘」をレビューしてみた.次元ほどの衝撃は正直なかったが,久々大満足の体験が出来る作品だった.

ただのネタバレみたいなことはしたくないので,あまり触れなかったが,組織の全貌が徐々に明らかになる展開などもあり,シリーズのファンは必見の作品といえる.

描きたりなかったらまた追記するかも,ではまた.